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(専門家向)鍼治療と心拍変動バイオフィードバックを融合したアプローチ

Acupuncture and Sound Assisted Autonomic Modulation Technique: Brief Scientific Background and Clinical Applications

The Pacific Wellness Institute

筑波技術大学、客員研究員

国際バイオフィードバック認定連合, フェロー

 田中秀明

 本研究の一部は、WHO Congress on Traditional Medicine(北京、中国、2008年)、ICMART XIII World Congress (ブタペスト、ハンガリー、2008年)、57回全日本鍼灸学会、(京都、日本、2008年)にて発表した。

 グラフや画像データは英語版を参照して下さい。

目的:健常者では通常10秒前後の周期での律動的呼吸時、0.1Hz付近をピーク周波数とした心拍変動 (HRV) の増大が観察される。この周期での呼吸トレーニングは、心拍、血圧応答を活性化し圧受容体反射感受性を高めるとの報告もあり、自律神経系疾患等への効果的アプローチとしてHRVバイオフィードバック (HRV-BFB) 療法が注目されている。しかし、HRV-BFBは通常患者へPCスクリーンを介した視覚的インプットを必要とし、日常の鍼臨床には導入しにくい。そこで、音声、波の音、クラッシック音楽から構成したCD (HRV Trainer CD、2002、非売品 1) を0.08、0.10、0.12Hzの3種類の周波数を用いて作成した。今回は0.1Hzを基調リズムとした CDに対してのパイロット的な実験について報告し、鍼臨床に応用する取り組みについて紹介する。

方法:CDへの予備知識を持たない4名の健常者に対しCD再生前と後に12呼吸/分 (0.2Hz) での制御呼吸を5分間行わせた。CDは35分間再生した。実験中は心電図と呼吸周期を連続的に記録しPCへ保存した。5分毎のR-R間隔データを高速フーリエ変換し、周波数帯域のHFとLF成分を解析した。

結果と考察:被験者全員、CDスクリプトにほぼ忠実に呼吸を行っていた。HRV解析では、休息時と0.2Hzでの制御呼吸時に見られたHF成分は音声コマンド開始直後より大きく低下し、LF成分が顕著に増加した。この傾向は10秒周期の波サウンド再生時にも引き続き見られた。これは呼吸性HRV (RSA) がHFからLF領域へシフトし、HRV-BFBで訓練目標とされる単峰性スペクトルが0.1Hz付近で形成されたことによると考えられる。

結語:通常のHRV-BFBと異なり、今回の方法は視覚的フィードバックを介さないが、HRVの増大とシフトがみられた。臨床においては、自律神経調整を目的とした置鍼中にHRVが最大となる周波数CDで呼吸運動を行わせ、パワースペクトルをオンラインでモニターし評価している。自宅療法の一環としても応用している。

NOTE: 本研究で作成・使用したCD (1)は当院での基礎トレーニング用としてのみ使用しており非売品です。一般の方でご購入を希望の方は、商用に開発されたCD(Calming Massage・Breathing for Relaxation)をお試しください。Amazon等で購入可能です。

 

1. Tanaka, T.H. The Creation and Efficacy of a HRV-Autonomic Trainer CD in Assisting Heart Rate Variability Biofeedback Training: Preliminary Report. Paper presented at the 34th Annual Meeting of Association for Applied Psychophysiology and Biofeedback, Jacksonville, Florida, MarMarch 27-30, 2003.

意外と知られていない肩こりの原因と治療法

The Pacific Wellness Institute

筑波技術大学、客員研究員

国際バイオフィードバック認定連合, フェロー

 田中秀明

2017 06 03

肩こりを訴える方は首から肩にかけての僧帽筋の過緊張が認められます。僧帽筋は頭や腕を支える筋で、長時間の座り仕事やコンピューターマウスの反復使用で持続的な負担がかかっています。疲労物質がたまり筋疲労や痛みが発生しやすい状態となります。しかしながら、僧帽筋は姿勢や動作などによる機械的ストレスのみでなく精神的なストレスによっても筋の過緊張や疲労が起こります。筆者の経験では、こちらのほうが根本原因となっている場合の方が多く、慢性の肩こりで、マッサージ等へ通っても一時的な効果しか得られない方の多くはこのタイプです。

僧帽筋と精神的ストレスの関係について

スポーツの試合等では選手の緊張を解くため「肩の力を抜いて…」とトレーナーが声をかけることがありますが、これは肩(僧帽筋エリア)の緊張が緩むと精神的な緊張がほぐれリラックスできることが経験的にわかっているからです。

これとは反対に多くの人は精神的に緊張すると肩背部に余分な力が入り、この状態が続くと肩こりの原因となります。この肩背部の緊張と精神状態の密接な関係は、筋電図を用いた実験においても示されています。

僧帽筋と精神的ストレスの筋電図学的検討

Biofeedback Certification International Allianceという精神科医、心理学者、および理学療法士を主な会員とする団体があります。

バイオフィードバックは患者の脳波、脈拍、皮膚温、筋活動などをモニターしながら心理療法や運動療法をおこなうもので特にアメリカでは広く様々な疾患の治療に応用されています。

患者の精神状態の判定には、心拍数や手指の汗腺の状態を測る器械(所謂うそ発見器)が一般的に用いられています。バイオフィードバックの専門家のあいだでは表面筋電図も積極的に取り入れられています。筋電図というのは、筋肉が緊張し収縮した時におこる放電活動をとらえ記録する器具です。患者さんに 筋電図の電極を肩の僧帽筋上部へ貼り付け椅子にかけてもらいます。じっと座っている場合は筋電図のグラフはフラットですが肩や腕をあげたりしてもらうと筋肉の収縮活動とともに筋電図活動(積分筋電図波形)の上昇が認められます。興味深いのは、筋をうごかさずとも暗算や過去の不快な思い出を想起させるなど筋電図に変化がみられるという現象です。ストレスや心理的な負荷をかけることで、筋電図に変化が表れやすい筋肉は僧帽筋上部と頭の額にある前頭筋です。悩み事をしているひとは額に皺を寄せたり、肩に力が入ったりしています。これを筋電図が捉えているわけです。

バイオフィードバックの専門家は、顔面や頸肩の筋肉と心理状態の密接な関係に着目し、頸肩などの筋を緩めることで不安神経症などの精神的な症状に対処しています。それとは逆に心理療法などで精神をリラックスさせて交通事故後遺症による頸部むち打ち症の治療をおこなっている専門家もいます。

以上のことから、鍼や灸を対症的に首や肩のみに行っても一時的な解決にしかならないことがわかります。伝統的な鍼灸治療ではお腹、腕や足にあるツボが重要視されています。これらの部位には東洋医学でいう「心」と関係のあるツボが多くあります。筆者が行った研究においては、手首付近の外関というツボに鍼刺激を与えると僧帽筋と前頭筋の筋電図活動を低下させることが認められました。[1]

パシフィックウエルネスで行っている肩こりに対する鍼治療は痛みのある部位のみでなく全身に鍼や灸をおこないます。また、ストレスや不安神経症等に対する補助療法として心拍変動バイオフィードバックを応用した呼吸運動を鍼治療に取り入れています。

[1] Tanaka, T.H., Leisman, G., Nishijo, K.  The Physiological Responses Induced by Superficial Acupuncture: A Comparative Study on Acupuncture Stimulation During Exhalation Phase and Continuous Stimulation.  International Journal of Neuroscience, Vol. 90, No. 1-2, 45-58, 1997  [Medline]

Calming Massageを使用される前に How TO USE

Calming Massageの使用方法

Calming Massageは呼吸を緩やかにし、理想的な心拍リズムをつくるようデザインされています。当プログラムでの呼吸リズムのターゲットは1分間に6呼吸(0.1Hz)です。 全演奏中呼吸法を行う必要はありません。まず、5分間から10分間ほどゆっくりと軽い呼吸を行いリラックスした状態を感じてください。

• 楽ないすに座る。就寝前にベッドで行ってもよいです。呼吸の合図を明瞭に聞くためヘッドホン着用をお勧めします。

• 鼻から息を吸い、軽く閉じた口から吐きだして下さい。

• らくにリラックスしておこなう事が重要です。激しい深呼吸は避けてください。

• 万一、メマイ、ふらつき、またはしびれ感等の症状が出た場合は中止してください。

1-3トラック:吐息の音に合わせて呼吸してください。4秒間吸って、6秒間吐きます。激しく深く息をしないでごく軽く行います。吸気、呼気の1呼吸サイクルは10秒間です。呼気時が多少長めに設定されています。最初のうちは、適正な呼吸の合図に沿っているかどうかCDプレイヤーのカウンターか時計で確認しながら行ってください。息を吸う合図は10秒サイクルの初め、吐く合図はその4秒後に聞こえます。もし吸気、呼気の合図に的確についていけなくても構いません。合図はおおまかな目安とし、自分のペースで行ってください。やがて自然に理想的な呼吸リズムで行えるようになります。

4-6トラック:これらのトラックには呼吸の合図は入っていません。ゆっくりとした呼吸(約6回/分)を続けて行うか、リラックスして音楽を楽しんでください。

7-9トラック:吐息の音に合わせて呼吸してください。ごく軽く行います。必ず吸い込んだ息をすべて吐き終えてから次の吸気動作に移ってください。

10-12トラック:これらのトラックには呼吸の合図は入っていません。ゆっくりとした呼吸(約6回/分)を続けて行うか、リラックスして音楽を楽しんでください。

自律神経トレーニングCD:Calming Massageについて

使用上の注意:呼吸器系に疾患のある方、過換気症候群等による症状が起きやすい方、および他の疾患等でこの演奏または呼吸運動で好ましくない結果をまねく恐れのある方は当CDの使用前に医師の診察を受けてください。車の運転および覚醒、注意を要する活動の際には当CDの使用を避けてください。

 

不妊と鍼灸 Q & A パート1

鍼治療は不妊症に効果的なの?

 

回答、解説:田中秀明

Ph.D., R.Ac., R.TCMP (カナダ、オンタリオ州)

筑波技術大学、鍼灸学科、客員研究員

The Pacific Wellness Institute、Clinical Director

更新:2016年12月

Q:  なかなか妊娠しません。鍼治療に興味はありますが効果はあるのでしょうか?

A:  長年にわたり鍼灸療法は不妊症や妊娠を妨げる様々な婦人科疾患の治療に用いられ効果が認められています。Pacific Wellnessでは、過去30年近く妊娠困難でお悩みのカップルの治療に携わっております。

解説:これまでの研究により鍼治療は、卵巣の血液循環を促し、卵巣機能を高め、卵(卵胞)生成を促進するとの報告があります[1]。また、受精卵の着床に重要である子宮内膜の厚さの向上、子宮血流を高めるとの報告もあります[23]。鍼治療により促されるこれらの反応はいずれも妊娠に好影響を及ぼすと考えられています[4]。鍼治療は妊娠しやすい体づくりをサポートします。

 

Q: 鍼で女性ホルモンのバランスを整えることができますか?

A: 定期的な鍼治療や生活習慣の改善で多くの場合ホルモンの分泌異常やアンバランスが徐々に整っていきます

解説:Pacific Wellnessへはホルモンバランスの乱れや分泌異常でお悩みの方が多く来院されております。例えば卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞ホルモン(エストロゲン)、黄体ホルモン(プロゲステロン)、プロラクチン、抗ミュラー管ホルモン(AMH)など。多嚢胞性卵巣(PCOS)と診断された女性に対し生殖ホルモンの分泌パターンの改善を示した研究[56]もあり、多くの場合、鍼は単独、または補完療法としてホルモン異常の改善に効果的です[7]。 また甲状腺ホルモンや副腎ホルモン等の異常も性ホルモンに悪影響を及ぼすことがわかっており[8]、これらに対しても鍼治療は有益であることが多いです。

 

Q:  生理不順で月経周期が乱れぎみなのですが?

A: 原因にもよりますが、鍼や漢方治療で徐々に定期的なサイクルになっていくケースが多く認められます。

解説:鍼治療は、視床下部 – 下垂体 – 卵巣/性腺(HPG)軸と視床下部 – 下垂体 – 副腎(HPA)軸という神経、内分泌の制御機構を介し、女性の月経周期の調整に有効であると考えられています[6, 9]。

Pacific Wellnessへは経口避妊薬(低用量ピル)をやめて数ヶ月たっても生理がこないと訴える方が頻繁に来院されます。このようなケース(post- pill amenorrhea)においても鍼治療後に月経の正常サイクルが戻ってくる場合が多くあります。

 

Q:  卵巣や子宮の血行が重要と聞きましたが鍼で血流をよくすることは可能ですか?

A: 鍼治療は、卵巣及び子宮への血流を改善させることが示されています。

解説:卵巣への血流は栄養を送り込み良質な卵の形成に大切な役割を果たします。また、子宮内膜の血流は、胚(受精卵)の着床のために重要です。不妊専門医により低用量アスピリンなどの抗凝血薬(血を薄くする薬)やクエン酸シルデナフィル(バイアグラ)などが処方されることがありますがこれらも子宮への血流を増加させるための治療の試みの一例です[10]。ヒトや動物をもちいた実験で鍼治療は、卵巣及び子宮への血流を改善させることが示されています[3, 11-17]。

漢方医学の観点からは、血液(気血)の適切な流れは、健康な営みのために最も重要な要因と考えられています。子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、卵管障害、月経困難症、および無月経など婦人科疾患の多くは、東洋医学でいういわゆる瘀血(おけつ:古い血液の停滞)に関連していると考えられています。体質的に血行がよくない方は慢性的な手足や体幹部の冷えがあり(いわゆる冷え性)、静脈瘤、月経痛、経血中に黒い固まりが見られる等の症状が認められます。冷えを改善し、血のめぐりをよくすることで、より妊娠しやすいカラダへと近づいていきます。

 

Q:  不妊クリニックで子宮内膜が薄いといわれたのですが?

A: 鍼治療で子宮血流をよくし内膜を改善させることが期待できます。

解説:排卵時の子宮内膜の厚さは最低でも8 mm以上が望ましいとされています。子宮内膜が薄すぎるとせっかくうまく受精した卵が着床しづらくなり、また着床しても早期流産の可能性が高くなります。検査で指摘されてないかたでも、生理の量が少なくっている場合は内膜が薄め傾向の可能性があります。

また、子宮内膜は厚さだけでなくパターン(3層構造)も重要といわれています。子宮環境をなるべくよい状態とするのが着床に重要と考えられます。

子宮内膜がうまく発達しないのは漢方医学的には冷えや、血の不足、または古い血の停滞(瘀血)などが原因と考えられます。これらは、鍼や漢方薬で血のめぐりをよくすることにより改善が期待できます。

なお、体質にもよりますが内膜が薄い場合は食事に週2日から3日、赤身のお肉(オーガニックビーフなど)をとりいれることで改善が期待できる場合があります。

 

Q:  FSHAMHの検査結果が良くありませんでした。卵の質に問題があるのか心配なのですが?

A: 鍼治療と生活習慣の改善で卵巣機能をなるべく高めることが重要です。

解説:生理3日目のFSHが10以上の場合やAMHの値が低い場合などは卵の質が不妊の原因となっている可能性があります。卵巣機能が低下している状態なので、排卵誘発剤を使用しても卵胞がうまく成長しにくい場合もみられ体外受精(IVF)も困難となる場合もあります。

残念ながらDay3 FSHは加齢とともに高く(AMHは低く)なる傾向にあり現代医学でも効果的な対処法がないのが実情です。

ただし、年齢には「実年齢」と「機能年齢」があることを念頭におく必要があります。「実年齢」は皆同じスピードで加齢します。「機能年齢」は人それぞれ加齢の速度が違います。したがって、40を超えていてもFSHは正常値で卵子は比較的若いという方も数多く存在するわけです。

また、FSHやAMHの数値が悪いと妊娠しにくいのは事実ですが不可能というわけではありません。私の患者さんでドナー卵IVFへ備えて鍼治療中に2度自然妊娠された方がいますが、2度とも妊娠前のDay3FSHは30オーバーでAMHは0ポイント台でした。この患者さんはすこし特殊な例ですがFSH20 前後の高値を示していて妊娠された方はこれまで何名もおられます。

私の経験ではストレスや生活環境その他の影響で一時的にFSHが高めになっている方もおられます。そのような場合に関しては鍼治療と生活習慣の改善で数値が良くなっていく場合が多いと感じています。

 

Q: 鍼での若返り(特に卵子の若返り)は可能ですか?

A:  卵子を若返らせることは容易ではありませんが機能年齢への働きかけで老化スピードを遅らせることは可能と思います。

解説:上にも記したように「実年齢」は時間の流れによるものなので皆同じスピードで加齢します。それに対し「機能年齢」は生まれ持った体質もありますが生活習慣の違いで加齢の速度が大きく変わります。細胞の酸化を促進する生活習慣(例:喫煙、不健康な食生活、睡眠不足、ストレス、運動不足または過多)は生物学的加齢を速めてしまいます。

鍼で若返りが可能であるというと少し語弊がありますが機能年齢への働きかけは十分可能です。たとえばわたしの患者さん(50代半ば)はすでに数年前より生理がこなくなっていましたがストレス解消の鍼治療を行っていたところ生理が毎月おとずれるようになりました。他に何例かの閉経女性で似たような経験をしていますが、これなどは機能年齢が逆戻りしたともいえるのではないでしょうか。

卵子を若返らせることはなかなか困難ですが定期的な鍼治療と生活習慣の改善で少なくとも老化スピードを遅らせることは可能ではないかと考えています。

 

Q: 検査で卵管が詰まっているとの結果がでましたが対処法などはありますか?

A: 両側とも詰まっている場合は自然妊娠は困難です。お早めにIVF専門医へ相談してください。

解説:自然妊娠(または人工授精IUI)の場合は、少なくとも片方の卵管はオープンでその側から排卵があることが必須条件です。両側ともつまっている場合は体外受精(IVF)が最適オプションで鍼はIVFの補完的治療となります。

卵管がつまる原因としては子宮内膜症や性感染症、子宮外妊娠等があげられます。お心当たりがない場合はしばらくして再検査を受けて見られるのもお勧めです。卵管が一時的に痙攣していた場合などはBlocked と判定されることがあるからです。

ちなみにだいぶ前ですが、20代の女性で両卵管とも詰まっているといわれた患者さんがいました。再検査の結果も同じでしたので予定している体外受精に備え鍼を行っていたところ自然妊娠されました。ご本人も大変驚いていました。なんらかの拍子で片方の卵管が開いたものと思われます。鍼で骨盤内血流が良くなったのも一因と考えることもできますが、長年数多くの症例を経験していると稀にこういうこともありうるということで、両卵管が詰まってしまっている場合はやはりIVFを第一選択肢として検討されるべきです。

 

Q: 排卵検査薬で排卵日をチェックしていますが 基礎体温は続けたほうがよいですか?

A: ストレスにならないようであれば基礎体温も続けたほうがよいです。

解説:排卵日の事前特定には不妊クリニックでの血液検査や家庭用の簡易排卵検査薬のほうが優れています。

基礎体温は別の利点があり、毎日体温を正しく測ることで月経サイクルのホルモン分泌の推移を観察できます。黄体機能不全等の経過観察にも有用ですので出来れば継続して行ったほうがよいです。サイクルに合わせた鍼治療の参考ともしますので付けているグラフを定期的にお持ちください。

ただし、毎朝体温の上がり下がりに一喜一憂し検温自体がストレスとなっているような場合は、逆効果ですのでしばらく中止されたほうがよいです。

 

Q: 東洋医学と不妊の本に不妊鍼治療の成功率は75%であると記されていましたが本当ですか?

A: 統計的に導き出された数値ではなく根拠のない主張です。

解説:不妊鍼で有名な米国人鍼灸師著の本にそう記されているようです。反響が大きかったようで、その影響で当院へも成功率に関する問い合わせが相次いでいた時期があります。患者さん側のお気持ちはわかりますが、「クリニックの成功率」は、そこへ来院している患者層の特徴をおおまかに反映したものでしかなく、意味のないことです。

妊娠率は年齢、婦人科疾患の有無、男性側因子の有無ほか様々な要因が大きく影響するのは周知の事実です。比較的若く、特に婦人科疾患もなく、夫も健康であるような層が多いような場合は75%以上の成功率であっても不思議ではありませんし、逆にカップル両方に問題があり、年齢も40代以上という患者層が多くを占めているようなところだと成功率は低めになるでしょう。

米国のIVFクリニックで公表されている成功率は年齢および妊娠率に影響するさまざまな要素(交絡因子)を除外、層別化したうえで算出されています。

一部鍼灸師を含め特に代替医療の関係者は、上記の要因を考慮せずに漠然と成功率に言及する場合がありますのでご注意ください。

Q: 夫側に問題があるようなのですが鍼治療と男性因子不妊についてはどうですか?

A: 鍼や漢方療法で良好な結果が得られる場合があります。

解説:不妊カップルの約半数は男性側の問題といわれています。不妊症に対する鍼研究の多くは女性を対象としていますが、男性側因子に対し鍼治療の有効性を報告した研究もいくつかあります[18-20]。

Pacific Wellnessでは精子の数、低運動率、形態異常、DNA断片化率など男性不妊に対し鍼または漢方薬併用で顕著な改善が認られ妊娠に至ったケースを多く経験していますが反応が鈍い例もあります。

精子の形成サイクル(精原細胞-精子)は約70~90日間といわれていますので、通常は3ヶ月の試験的治療をお勧めしています。

不妊と鍼灸 Q & A

パート 1: 鍼治療は不妊症に効果的なの?

パート 2: 不妊鍼の実際 - どこになぜ鍼をするの?

パート 3: 鍼治療と人工受精(IUI)または体外受精(IVF)など高度生殖医療(ART)の併用について

このよくある質問のオリジナルバージョンは、2002年にacupuncture-treatment.comにアップロードしました。また、2014年アップデート版はacupuncturemoxibustion.comに掲載しました。このQ&Aはオリジナルの英語バージョンを抜粋し日本語で加筆、訂正したものです。

2016年12月

文献

  1. Emmons S, Patton P: Acupuncture treatment for infertile women undergoing intracytoplasmic sperm injectionMedical Acupuncture: A Journal for Physicians by Physicians 2000, 12(2).
  2. Ho M, Huang LC, Chang YY, Chen HY, Chang WC, Yang TC, Tsai HD: Electroacupuncture reduces uterine artery blood flow impedance in infertile womenTaiwanese journal of obstetrics & gynecology 2009, 48(2):148-151.
  3. Stener-Victorin E, Waldenstrom U, Andersson SA, Wikland M: Reduction of blood flow impedance in the uterine arteries of infertile women with electro-acupunctureHum Reprod 1996, 11(6):1314-1317.
  4. Chang R, Chung PH, Rosenwaks Z: Role of acupuncture in the treatment of female infertilityFertil Steril 2002, 78(6):1149-1153.
  5. Johansson J, Redman L, Veldhuis PP, Sazonova A, Labrie F, Holm G, Johannsson G, Stener-Victorin E: Acupuncture for ovulation induction in polycystic ovary syndrome: a randomized controlled trialAmerican journal of physiology Endocrinology and metabolism 2013, 304(9):E934-943.
  6. Stener-Victorin E, Waldenstrom U, Tagnfors U, Lundeberg T, Lindstedt G, Janson PO: Effects of electro-acupuncture on anovulation in women with polycystic ovary syndromeActa Obstet Gynecol Scand 2000, 79(3):180-188.
  7. Gerhard I, Postneek F: Auricular acupuncture in the treatment of female infertilityGynecol Endocrinol 1992, 6(3):171-181.
  8. Chrousos GP, Torpy DJ, Gold PW: Interactions between the hypothalamic-pituitary-adrenal axis and the female reproductive system: clinical implicationsAnn Intern Med 1998, 129(3):229-240.
  9. Stener-Victorin E, Lundeberg T, Waldenstrom U, Bileviciute-Ljungar I, Janson PO: Effects of electro-acupuncture on corticotropin-releasing factor in rats with experimentally-induced polycystic ovariesNeuropeptides 2001, 35(5-6):227-231.
  10. Sher G, Fisch JD: Vaginal sildenafil (Viagra): a preliminary report of a novel method to improve uterine artery blood flow and endometrial development in patients undergoing IVFHum Reprod 2000, 15(4):806-809.
  11. Hotta H, Uchida S, Shimura M, Suzuki H: Uterine contractility and blood flow are reflexively regulated by cutaneous afferent stimulation in anesthetized ratsJournal of the autonomic nervous system 1999, 75(1):23-31.
  12. Sato Y, Hotta H, Nakayama H, Suzuki H: Sympathetic and parasympathetic regulation of the uterine blood flow and contraction in the ratJournal of the autonomic nervous system 1996, 59(3):151-158.
  13. Stener-Victorin E, Fujisawa S, Kurosawa M: Ovarian blood flow responses to electroacupuncture stimulation depend on estrous cycle and on site and frequency of stimulation in anesthetized ratsJ Appl Physiol 2006, 101(1):84-91.
  14. Stener-Victorin E, Kobayashi R, Kurosawa M: Ovarian blood flow responses to electro-acupuncture stimulation at different frequencies and intensities in anaesthetized ratsAuton Neurosci 2003, 108(1-2):50-56.
  15. Stener-Victorin E, Kobayashi R, Watanabe O, Lundeberg T, Kurosawa M: Effect of electro-acupuncture stimulation of different frequencies and intensities on ovarian blood flow in anaesthetized rats with steroid-induced polycystic ovariesReprod Biol Endocrinol 2004, 2:16.
  16. Uchida S, Hotta H, Kagitani F, Aikawa Y: Ovarian blood flow is reflexively regulated by mechanical afferent stimulation of a hindlimb in nonpregnant anesthetized ratsAuton Neurosci 2003, 106(2):91-97.
  17. Uchida S, Kagitani F, Hotta H, Hanada T, Aikawa Y: Cutaneous Mechanical Stimulation Regulates Ovarian Blood Flow via Activation of Spinal and Supraspinal Reflex Pathways in Anesthetized RatsThe Japanese journal of physiology 2005, 55(5):265-277.
  18. Ng EH, So WS, Gao J, Wong YY, Ho PC: The role of acupuncture in the management of subfertilityFertil Steril 2008, 90(1):1-13.
  19. Pei J, Strehler E, Noss U, Abt M, Piomboni P, Baccetti B, Sterzik K: Quantitative evaluation of spermatozoa ultrastructure after acupuncture treatment for idiopathic male infertilityFertil Steril 2005, 84(1):141-147.
  20. Siterman S, Eltes F, Wolfson V, Zabludovsky N, Bartoov B: Effect of acupuncture on sperm parameters of males suffering from subfertility related to low sperm qualityArchives of andrology 1997, 39(2):155-161.

不妊と鍼灸 Q & A パート2

不妊鍼の実際 - どこになぜ鍼をするの?

 

回答、解説:田中秀明

Ph.D. R.Ac. R.TCMP (カナダ、オンタリオ州)

筑波技術大学、鍼灸学科、客員研究員

The Pacific Wellness Institute、Clinical Director

更新:2016年12月

Q: 不妊に対する鍼治療の際は体のどこにはりやお灸をするのですか?

A: ツボは全身にありますが伝統的に不妊症に効果があるとされている経穴のほとんどは、腰部、仙骨、下腹部、そして下肢内側に集中しています。

解説:月経周期や個人差により使用するツボは異なります。全身調整のため頭、腕、首などのツボに鍼をする場合もあります。

子宮や卵巣に刺激をあたえる目的で鍼を行う場合は腰、臀部、お腹(おへそから恥骨上部)、膝から足首の内側が主な施術範囲になります。これらの領域(T10-L2およびS2-S4デルマト-ム)は、解剖学的観点からも卵巣や子宮と密接な関連性があることが示されています[1]。

 

図解:不妊症に用いられる鍼のツボ

 

Q: 腰や足に鍼を刺すことでどうして子宮や卵巣に影響があるのでしょうか?

A:  体表の特定部位が子宮や卵巣と神経で繋がっているからです。

解説:例えば胃が悪いときは背中の真ん中あたり、狭心症では肩から腕にかけて、子宮内膜症や生理痛のひどい人はお腹のみでなく腰から大腿部にかけても痛みがでることはよく知られています。これは特定の内臓器と体表が神経で繋がっているからおきる現象で、生理学では関連痛として知られています。また、内臓の異常が反射性に筋肉等に発現する場合は内臓ー体性反射と呼ばれています。

逆に特定の体表部位(皮膚や筋)を鍼や灸などで刺激をあたえると対応する臓器機能に影響することがわかっています(体性-内蔵反射)[23]。この生理的反射現象を応用することで内臓を直接刺激することなく、関連体表部位を刺激することで機能改善が期待できます。体性-内蔵反射は鍼灸の重要な治効理論のひとつとなっています。

ちなみに米国の泌尿器科医のあいだでは足首付近にあるツボ(三陰交-太渓)に鍼を刺して低周波電気刺激をあたえる治療法が頻尿(過活動膀胱)の患者へ応用されており成果をあげています[4]。Neuromoduration Therapy(神経調節療法)の一種と位置づけられていますが、これも体性内臓反射理論を応用した鍼治療の一例です。

生殖器では動物やヒトを用いた実験研究において、下肢、腹部、腰仙部の皮膚又は筋への刺激で子宮や卵巣の血流へ影響をおよぼすことが示されています[5-10]。臨床的には、子宮や卵巣関連部位を単に刺激するのではなく、ゾーン内(T10-L2およびS2-S4の皮膚分節)に位置している不妊の伝統的ツボ(経穴)を選択的に刺激することで、より効果が期待できると考えています[11]。

 

Q: 以前通っていたところでは、仰向けで主にお腹と足のみ鍼をやっていましたが、背中にもうつのですか?

A: からだの表(前面)と裏(後面)にあるツボ、両方と刺激したほうがより効果的です。

解説:Part 3で触れているドイツ式IVF鍼プロトコールでは背部のツボは含まれていないので仰向けのみです。また、中医学で用いられる代表的な不妊のツボもどちらかというと体の前面に位置しています。

からだの片面(仰向け)のみの治療でも十分な効果が望める場合は多くあります。しかし、前述のように解剖生理学的観点からは、寧ろ体の背面に生殖機能に重要なツボは多くあります。前後両面からアプローチするのがより効果的と思われます。

また、同じツボを用いても治療時の体位によって異なる自律神経反応が起きる場合があることもわかっています[12]。Pacific Wellnessでは通常、仰向け、うつ伏せ(又は横向き)、座位と3つの治療体位で様々なツボへアプローチします。治療の終了間際に座位で手首付近のツボに行う鍼刺激は副交感神経反応を主体とした自律神経反応を高めることが研究で示されています[12-14]。

 

Q: 不妊以外の症状へも対応してもらえますか?

A: もちろんです。心と体の様々な不調の改善が妊娠しやすい体づくりの第一歩となります。

解説:不妊に悩んでおられる女性はストレス、うつ、不安症、疲れやすい、不眠、便秘、お腹の張り、冷え性など他の症状でもお困りの場合がとても多いです。漢方医学の観点からはこれらは、気滞、気虚、寒、瘀血(おけつ)といった病態を示唆しており、いずれも不妊と密接な関係にあります。これら心と体の様々な不調の改善が妊娠しやすい体づくりの第一歩となります。

したがって、腰やお腹の不妊症のツボに加え、自律神経系を調節し、リラックス効果が期待できる頭部、首、肩、腕などのツボも使用し症状や体質に合わせた全体的治療を行います。

なお、時と場合によっては、あまりツボを分散させずに焦点を絞った治療が必要な場合もあります。

 

Q: 針は痛そうで不安なのですが?

A: Pacific Wellnessでは日本で製造された非常に細い針(毛鍼)を使用しています。はりを入れる深さも通常1~2ミリ程度と浅く、なるべく痛みのない治療を心がけております。

解説:太い鍼を深く刺して強めの刺激をおこなうと血管運動を司るアルファ受容体系の交感神経が作動し末梢の血管が収縮してしまいます。また、ストレスホルモンが過剰放出する場合もあります。頑固な慢性痛等には効果的な場合もありますが不妊治療、特に黄体期や妊娠初期にはあまり向いていない刺激法といえるでしょう。

Pacific Wellnessの不妊治療でもちいている繊細な鍼刺激は、末梢血流をゆっくり増加させ、リラックス反応を導くよう作用します。からだと心にやさしい治療方法であるため、妊娠初期にも安全ですので安心して治療をお受けください。鍼治療の詳細については、このページをお読みください。

Q: どのくらいの頻度で通えばよいのでしょうか?

A:  週1回から2回、定期的に鍼治療を受けることをお勧めしています。

解説:最初の2〜3ヶ月の間は、定期的な鍼治療による累積効果でより妊娠しやすい体へと変化させていく期間です。Pacific Wellnessでは、月経周期(生理中、排卵前、排卵/着床前、黄体期・生理予定日前)に合わせた鍼施術を行っており、それぞれの期間中に定期的に治療を行うことでより効果が得られやすくなります。

なお、ある程度まで体質改善が認められたあとは、月のうちの数日間のみ(例えば排卵前後)にピンポイントで治療を行う場合もあります。

Q: 鍼治療を受けている期間中もし妊娠していたら?

A:  生理予定日まえは早期妊娠の可能性を想定し、それに応じた鍼施術をおこなっています。

解説:上でお示ししたとおり、Pacific Wellnessクリニックでは、月経周期(生理中、排卵前、排卵/着床前、黄体期・生理予定日前)に合わせた鍼施術を行なっています[11]。

受精卵の着床は通常排卵6日~9日前後ですので、その後は早期妊娠の可能性を想定したうえで治療をおこなっています。着床後・生理前の治療は下腹部等への刺激は避け、より繊細で軽い刺激を用いリラックス反応を導く治療が中心となりますので安心してご来院ください。

なお、この治療法はストレスホルモンの放出や子宮の異常収縮を抑制する作用がありますので早期流産経験者の妊娠初期~12週目までの治療法としても適しています。

 

Q: 排卵後に気をつけたほうがよい生活習慣等はありますか?

A:  あまり神経質になる必要もありませんが、激しい運動などは控えたほうがよいでしょう。

解説:卵管で受精した胚は、排卵後約6~9日で子宮へ到達します。妊娠早期はまだ着床が不安定な時期なので激しい運動などはなるべく控えたほうがよいでしょう。詳しくはPart 3の「胚移植後は特に日常生活で気を付けるべき点等はあるでしょうか?」の回答に倣ってください。

 

Q: 灸は効果がありますか?

A:  「鍼灸」という用語に表れているように鍼と灸は古来より対で用いられてきました。併用することで十分な効果が得られます。

解説:筋肉痛などには鍼だけでも効果がある場合もありますが、婦人科疾患を含め内蔵の不調には灸を併用した方が効果的です。

Pacific Wellnessの不妊自然療法プログラムには灸が必ず含まれています。

灸(温灸)の主な効果はツボを温めることでおこる血行促進作用です。直接肌につけない関節灸の一種である棒灸を用いた灸療法は、まろやかな心地よい熱さですのでリラックス効果もあります。冷えの改善にも効果的ですので冷え性でお悩みの方には特にお勧めです。また、遠赤外線ランプでからだの一部を温める場合もあります。

 Q:  Pacific Wellness の不妊自然療法プログラムでは鍼と灸のほかに通常何が含まれますか

A:  多くの場合、AcupressureとHRV呼吸運動をおこないます。

解説:Acupressure(指圧)を血管拡張作用のあるドイツ製のハーブクリームを用いて短時間、特定領域のみおこないます。

ツボは刺す(鍼)、温める(灸)、押す・撫でる(指圧・マッサージ)など様々な方法で刺激することができます。刺激方法により特徴的な効果反応が起きる場合もあります。したがって、特定の重要ツボ領域に関しては鍼、灸、指圧とすべての方法で刺激をあたえることにで、より大きな反応が望めます。

HRV呼吸運動は心拍変動(Heart Rate Variability)をモニターしながらおこなう呼吸訓練です。応用生理学領域の研究では、ある特定のリズムで呼吸をおこなった場合、自律神経活動が高まることが分かっています。自律神経は心拍のみでなく、子宮や卵巣の血流をコントロールし、ホルモン系や免疫機能にも関わる重要な神経系です。

HRV呼吸運動と鍼との併用でPCOSによる生理不順や無月経などに対する正常な生理周期の回復に良い結果が得られています。この呼吸法は心臓から求心性神経を介し脳のホルモン制御器官である視床下部へ影響をあたえ、概日(サーカディアン)リズムや月経リズムなど生体リズムをアジャストするよう働くのではないかと考えています。

Pacific Wellnessでは、心拍変動をモニターし鍼と呼吸運動で意図した通りの自律神経反応が賦活されているか確認しながら施術をおこなっています[15, 16]。

 

Q: 漢方薬はどうでしょうか?

A: 鍼灸と漢方薬の併用で相乗的効果が期待できます。

解説:慢性疾患を抱えておられる方や冷えや瘀血(局所循環障害)がひどい場合などは漢方薬を併用したほうがよい場合があります。また、鍼灸のみで十分な効果が見られないような場合にも漢方薬併用を検討してみましょう。

体力、気力が落ちている場合は人参や黄耆などが配合された補気剤、月経量が少ないなど血が不足している場合は当帰などが配合された補血剤に属する方剤を用います。また、古い血の停滞が見られる場合は桃任、牡丹皮などが含まれた血管を拡張やうっ血改善作用のある方剤を用います。熱や冷えをとる生薬や精神鎮静作用のある生薬を調合する場合もあります。

実際には複数の病態が混在している場合が多いので、頻用される漢方処方には通常異なった作用のある5~15種類くらいの生薬が配合されています。東洋医学的所見(脈、舌、腹診)を勘案し、症状、体質に合った漢方方剤を処方いたします。また、場合によっては違う種類の漢方方剤を生理周期に合わせて処方する場合もあります[17]。

漢方薬処方はPacific Wellnessの不妊自然療法プログラムにはスタンダードで含まれていません。オプションとなりますのでご希望の場合はこちらの漢方フォームへのご記入をお願いします。追って相談日の予約につきご連絡いたします。

 

Q: Pacific Wellness の不妊自然療法プログラムについて詳しく教えて下さい。

A: こちらのページを参照してください。

不妊と鍼灸 Q & A

パート 1: 鍼治療は不妊症に効果的なの?

パート 2: 不妊鍼の実際 - どこになぜ鍼をするの?

パート 3: 鍼治療と人工受精(IUI)または体外受精(IVF)など高度生殖医療(ART)の併用について

このよくある質問のオリジナルバージョンは、2002年にacupuncture-treatment.comにアップロードしました。また、2014年アップデート版はacupuncturemoxibustion.comに掲載しました。このQ&Aはオリジナルの英語バージョンを抜粋し日本語で加筆、訂正したものです。

2016年12月

 

文献

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  12. Nishijo K, Mori H, Tsukayama H, Yamashita H: Scientific Approach for AcupunctureJournal of the Japan Society of Acupuncture and Moxibustion 1995, 45(3):177-191.
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  15. Tanaka TH: Enhancement of Acupuncture Effects with Auditory Assisted Slow Breathing. In: WHO Congress on Traditional Medicine: 2008; Beijing, China; 2008.
  16. Tanaka TH: Potentiating the Autonomic Effects of Acupuncture by Proactive Use of Respiration. In: ICMART XIII World Congress: 2008; Budapest, Hungary; 2008.
  17. Tanaka T: A novel anti-dysmenorrhea therapy with cyclic administration of two Japanese herbal medicinesClinical and experimental obstetrics & gynecology 2003, 30(2-3):95-98.s

不妊と鍼灸 Q & A パート3

鍼治療と人工受精(IUI)または体外受精(IVF)など高度生殖医療(ART)の併用について 

 

回答、解説:田中秀明

Ph.D. R.Ac. R.TCMP (カナダ、オンタリオ州)

筑波技術大学、鍼灸学科、客員研究員

The Pacific Wellness Institute、Clinical Director

更新:2016年12月

Q:  現在不妊クリニックへ通っていますが、鍼や漢方治療を受けてよいですか?

A: 通常は問題ありません。補完的療法として効果が期待されています。

解説:Pacific Wellness クリニックへは、人工受精(IUI)または体外受精(IVF)など高度生殖医療(ART) を受けておられる方が多数来院されております。

漢方薬は問題ないばあいも多いですが、一部生薬にはホルモン様作用が認められており、人工受精(IUI)または体外受精(IVF)時に投与されるホルモン剤との併用は懸念される場合があります。漢方薬を含めハーブ、サプリメント類を服用中の方は専門医の指示に従ってください。

鍼に関しては積極的な専門医が多く、併用により相乗効果が期待できます。Pacific Wellness へはIVF専門医からの紹介で数多くの方が鍼治療に来られています。ちなみに、これまでに何人もの産婦人科の医師やナースもPacific Wellnessへ来院されており、ご自身の婦人科疾患の改善のため鍼治療を受けられています。

 

Q: IVFを予定しているのですが、鍼治療はいつごろ始めればよいですか?

A: ケースにもよりますが、通常はIVFサイクルの開始2~3ヶ月前からが理想的です。

解説:Part 2で記述している体質改善の鍼治療とIVFサイクルのプロトコルにあわせた鍼治療を行っています[1]。できればIVFプロトコルが決まり次第、サイクルシートのコピーをお持ち下さい。

 

Q: 胚移植後も鍼治療を継続したほうがよいでしょうか?

A:  ストレスや不眠などがある場合は鍼治療の継続をお勧めします。

解説:IVFを受けられている患者さんの多くは、胚移植後から約2週間後の妊娠検査まで大きな不安とストレスを抱えて過ごしています。強いストレスや不眠などが続くと着床にも悪影響を及ぼす可能性もありますので、そのような場合は鍼治療の継続をお勧めします。

胚移植後から妊娠検査までの鍼治療は、前述の黄体期後期のリラックス反応を目的としたアプローチを用いています。なお胚移植当日は、自宅にすぐ戻りリラックスして過ごすようお勧めしています。Pacific Wellness でおこなっている心拍変動フィードバックを応用した呼吸法[23]をおこない自律神経を最適な状態に保つよう努めて下さい。

 

Q:  IVFサイクル中、気を付けるべき点等はあるでしょうか?

A:  卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクがあります。

解説:IVFで用いられる排卵誘発剤などの薬は様々な副作用を発現させることがあります。IVFクリニックでよく説明を受けてください。

多くの副作用は一時的なものですが卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は、稀に重篤な症状になる場合もあり注意が必要です。若い女性およびスリム体型やPCOSの方などはOHSSリスクが高いといわれています。下腹部の張り、息苦しさ、腹痛、腰痛、吐き気、下痢、尿量の減少、急激な体重増加等の症状はOHSSの可能性があるので早急にIVFクリニックへ相談しましょう。

深刻なOHSSまではいかなくても、採卵前卵巣付近が過敏になっていたり腫れぎみになっておられる方は多くおられます。そのような場合の鍼治療は下腹部への刺激は避けて、下肢や腰部の関連領域のツボを多用しアプローチします。

 

Q: 胚移植後は特に日常生活で気を付けるべき点等はあるでしょうか?

A:  激しい運動などは避けたほうがよいです。

解説:胚移植後、特に気を付けるべき点については担当のIVF専門医の先生とご相談ください。

一般的に、胚移植後や妊娠初期は汗をどっぷりとかくような激しい運動やからだの温めすぎは避けたほうがよいといわれています。

ランニング、縄跳び、ウエイトトレーニング等は避けたほうが賢明でしょう。サウナや長時間の熱いお風呂、炎天下での日光浴、また近年はやりのホットヨガや岩盤浴なども胚移植後は禁物です。

また、下にも記しましたが、過剰なストレスホルモンの放出は着床に影響したり子宮を収縮させてしまうことがあります。なるべくリラックスできる環境で過ごしましょう。ストレスや不安を感じた場合はPacific WellnessでおこなっているHRV呼吸法をおこない、ストレス反応からのすみやかな回復を試みてください。

 

Q: ドイツでのIVF研究に使用された鍼プロトコルはどうでしょうか?

A: 当院では用いていません。

解説:2002年4月に、ドイツの研究者Poulusらにより、体外受精(IVF)前後に鍼を受けた女性で成功率が約50%増加したと報告されました[4]。ところがそのあと欧米で立て続けにおこなわれた臨床試験の結果はまちまちでした[5-11]。また、エビデンスレベルが最も高いSystematic Review研究もいくつか行われていますがPoulusらの実験結果を裏付ける結果は得られていません[12-15]。

わたし自身は研究デザイン、配穴その他、当初からすこし懐疑的であったのでドイツ研究で用いられた鍼プロトコルを行ったことはありませんが、最初の研究がセンセーショナルにメディアで報道されたこともあり、いまだに一部鍼灸師には信奉されているようです。

Poulsを含め多くの鍼の臨床試験で行われているのは被験者全員に同じ治療を用いる画一的治療です。それに対し日本や中国で古来よりおこなわれている鍼灸治療は個々の体質を重視した個別治療です。

Pacific Wellnessでは古来より伝承されてきた伝統的治療体系と最新の科学的研究により得られた知見を取り混ぜてそれぞれの患者様に適した鍼治療を行い、よりよい結果となるよう取り組んでおります。

2018年12月更新

ドイツ式鍼プロトコールの最新研究結果が2018年11月、Schwarze JE らにより報告されました。IVF胚移植当日にドイツ式鍼プロトコールを行った過去のRCT(無作為化対照試験)研究を統合しメタアナリシス(システマチックレビューで用いられる統計手法)で検討した結果、鍼治療を受けた患者グループの妊娠率は受けなかったグループより低く、「IVF胚移植当日の鍼治療は推奨されるべきではない」と結論づけられています。注意すべき点はこの研究での結果はドイツ式鍼プロトコールという特殊な治療法を胚移植当日行った場合に限られたものです。ドイツ式鍼プロトコールは伝統的鍼理論や個々の体質等を考慮していない簡易的鍼治療です。また、古来より妊娠時には禁忌とされているツボが胚移植直後の治療で用いられています。

当院でIVFの患者さんに行っている治療法は配穴、刺激方法、施術を行うタイミングなどドイツ式鍼プロトコールとは大きく異なります。伝統的な鍼理論と質の高い基礎、臨床研究に基づいた個別治療です。当院では90年代後半よりトロントの生殖医療クリニックはもとより、米国(コロラド、ニューヨークなど)の有名IVFセンターの患者さんに対し数千例以上の鍼施術を行っております。卵巣機能や子宮内膜の状態の改善等により卵巣刺激ホルモン薬に対する反応や着床率の向上が期待できると考えています。妊娠率が落ちるなどということはありませんのでご安心ください。

Schwarze JE et al.: Does acupuncture the day of embryo transfer affect the clinical pregnancy rate? Systematic review and meta-analysis. JBRA Assist Reprod. 2018 Nov 1;22(4):363-368

Q: 凍結胚移植(Frozen Embryo Transfer) を予定していますが鍼治療をおこなったほうがようですか?

A:  鍼治療で子宮環境をよくしておくことで、着床率の向上が期待できます。

解説:凍結胚移植を予定されている場合は、子宮内膜に重点を置いた鍼治療をおこないます。

鍼治療は子宮血流を促進し、子宮内膜の形成に役立ちます。

 

Q: ドナー卵でのIVF予定しているのですが?

A:  この場合も上記の凍結胚移植と同様、子宮環境をよくしておくことが重要です。

解説:Day3のFSHが高い場合、AMHの低下が示され卵の質に問題があるような場合、または過去のIVFで十分な胚が育たなかったようなケースではドナーエッグIVFを薦められることがあります。健康で若い女性から卵子の提供を受けることで良質な胚が期待できます。しかしいくら胚の質がよくてもレシピアントの子宮の状態が芳しくないとうまく着床せず妊娠には至りません。

子宮内膜血流を促進し、上質な子宮内膜形成を目的とした鍼治療で着床率の向上が期待できます。

Q: 妊娠率向上のほかにIVFサイクル中に鍼治療を受ける利点などはありますか?

A: 鍼治療は、採卵時の疼痛緩和やIVFを受けている患者の生活の質(QOL)の改善に有効であったとする研究が報告されています。

解説:前述のようにPacific Wellnessの不妊はり治療は抗ストレス作用、リラックス効果のある鍼も含まれています。鍼治療は、不安、うつ症状、不眠など精神的ストレスで悪化するさまざまな症状にも効果的です。

精神的ストレスで分泌されるホルモンは子宮を収縮させたり免疫細胞にも影響を及ぼし着床を阻害する要因になることが指摘されています[16, 17]。また、ストレスを抱えている女性はIVFの成功率が下がるという研究結果も報告されています[16, 18]。皮肉なことに、頻繁な検査やホルモン剤の影響等でIVFプロセスそのものが大きなストレスとなっているケースが多いことが確認されています[19-22]。

Pacific Wellnessの不妊鍼治療で惹起されるリラックス反応は特記すべき付加的効果と言えるでしょう。できるだけ心とからだが最善の状態でIVFに臨めるよう治療していきます。

不妊と鍼灸 Q & A

パート 1: 鍼治療は不妊症に効果的なの?

パート 2: 不妊鍼の実際 - どこになぜ鍼をするの?

パート 3: 鍼治療と人工受精(IUI)または体外受精(IVF)など高度生殖医療(ART)の併用について

このよくある質問のオリジナルバージョンは、2002年にacupuncture-treatment.comにアップロードしました。また、2014年アップデート版はacupuncturemoxibustion.comに掲載しました。このQ&Aはオリジナルの英語バージョンを抜粋し日本語で加筆、訂正したものです。

2016年12月

 

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